2017年3月30日木曜日

TASAKIさん MBOで上場廃止へ

2017年3月24日金曜日のYahooニュースに、
「宝飾販売のTASAKIが、経営陣による自社株買取(MBO)を実施し、
  最終的に上場廃止となる」
という記事が載っていました。
yahooニュース20170324

2〜30年ほど前、宝飾業界は、上場景気に湧いていたことがありました。
TASAKIさんは、昔は田崎真珠という名前で、1985年に上場しているそうです。
宝飾関連で、この前後に上場されたのは、ナガホリさん1983年 
ツツミさん1991年、ベリテさん1991年、桑山さん1995年、東京貴宝さん
1998年、あたりだったと思います。

思えばあの頃は、ある種、上場ブームとでも言うような流れがあり、宝飾業
だけでなく、いろいろな業界で、上場益とか、開かれた企業だとか、創業者
利益だとか、株に関しての楽しげな話題が多かったように覚えています。

2000年に日経流通新聞社が発表した、第29回日本の卸売業調査 
時計・貴金属編で発表された1999年の売上高順位の10位までは、

1.ティファニーアンドカンパニージャパン
2.田崎真珠(現TASAKI)
3.栄光時計
4.新栄商会
5.内原
6.東京貴宝
7.柏圭
8.ナガホリ
9.大月真珠
10.国太

といったものでした。


この内、3社が上場企業です。卸業だけの順位なので、ベリテさんや、ポンテ
ベッキオさん、4℃さん、ツツミさん、などは入っていません。

トップのティファニーさんの売上は約450億円で、10位までは、100億円を
超える売上高となっています。
今回上場廃止を目指すTASAKIさんは(旧社名田崎真珠ですが)、
約353億円です。
Yahooファイナンスの㈱TASAKIのページでは、2016年10月期のTASAKIの
売上は、連結で約223億円となっています。
yahoofauファイナンスTASAKI

16年間で、約37%のダウンです。
1999年頃の金価格は、1グラム大体1,200円前後 プラチナは、同じく
1,500円前後でした。金プラチナは、現在1グラム4,000円前後します。
宝飾の材料の金プラチナが3〜4倍の価格になっているのに
(なってしまったからなのかもしれませんが)、売上額は、4割近いダウンという
のは、厳しいものです。
宝飾業だけでは無いと思いますが、日本のデフレ状況も、本当になんとかして
ほしいと思います。

さて、TASAKIさん、田崎真珠さんのころから真珠では有名な会社でした。
特にマベ真珠では有名でした。
上場した前後からも、会社の業容はどんどん大きくなり、いろいろと、取りざた
されて、週刊誌ネタになったこともありました。
銀座のお店では、亡くなった落語家の立川談志師匠とモメたことや、
皇室関係者の方にお買い上げいただいたということを、マスコミに喋って
問題になったり。 あるいは、日本で数少ないデビアス・サイトホルダーに
なったり。
良くも悪くも、注目を集め、宝飾業界ではリーディングカンパニーの
一つでした。 もちろん、上場廃止するからと言って、業績が悪くなったり、
商売が変わったりするわけではないと思います。
上場のメリットがなくなり、株を公開しないほうが利点が大きいと判断
されての今回の決定だろうと思います。

まあ、2000年前後に上場が一つの流行であったように、20年近くたち、
今回は、上場廃止というのが、一つの流行のようなものなのでしょう。
上場することによって、資金が集めやすいとか、企業の透明性、継続性が
上がるとか、という利点があるのでしょうが、逆に、長期的な視点が得にくい
とか、広く一般に公開されるので業界独特の慣習などが理解されづらい、
上場継続のための情報開示や広報に時間と費用がかかる、などデメリットも
多いのだろうと思います。

特に、宝飾という、市場回転率の悪い高級贅沢品を取り扱い、資金が
在庫で寝る確率が高いビジネスを公開した場合、経営方針について
宝飾のことをあまり知らない一般株主の賛同を得るのは、相当な努力が
必要になることだと思います。

実際、宝飾大手企業では、非上場の会社も多く、真珠で有名なミキモトさん
も非上場です。

TASAKIさんも、非上場になられて、また美しい素敵な宝飾品を
展開されることを願っています。
もっとも、出来るのはウィンドウショッピングだけなのですが、悪しからず
m(__)m